2006年11月03日

小田急高架化訴訟原告敗訴確定

061101court_saikousai.JPG
2日、最高裁小田急高架化訴訟(正しくは小田急線連続立体交差事業認可処分取消等請求事件)の判決が出た。昨年12月にこの事業の原告適格について判断はされているのでこれ以外の事業の実質部分についての判決である。(早くも最高裁の方に判決文はアップされている)

傍聴に行ってはみたのですが・・・小法廷ということで原告の方以外の一般傍聴席は24席。昨年の大法廷判決の時とは違い、ごく少数に。倍率3〜4倍の所ではずれました。ということで中では傍聴はしなかったが開廷の15時頃まで珈琲飲んで時間つぶして待つことに。

061101court_oshirase.JPG
15時開廷で、約5分くらいだったか。傍聴者が出はじめた。出てきた人の話原告支援者の雰囲気を見るとこれは下馬評通りのようであった。

報道されている通りで、判決上告棄却2審高裁判決を支持。原告側敗訴ということであった。

判旨はこのようになった。

事業の調査、検討の結果について事業費の面で高架式が有利であり、騒音について予測値は条例や公害防止計画に適合する数値であり、それでも損害賠償責任が別件で認められてしまってはいるが少しでも騒音を減らすため、高架橋の重量化や防音壁、装置の設置、設備等騒音対策を備え、現実にもこの数値通りか下回っており騒音についても考慮されている。また、地形的条件でも河川の下をくぐるため深度がかなり深くなり、この点の判断も合理性を欠くものではないとしている。
そして、これら判断過程において考慮すべき事情を考慮しなかったことはなく、高架式を採用したことについて都の裁量権の逸脱や濫用はなく、本件鉄道事業認可について適法と判断した。(なお、側道事業は原告適格が無いと最高裁で判断され、事業としては日照確保や騒音、振動低減のための設備であり、事業に違法性はないことを高裁で判断している。)

高架化事業に賛成の立場としては妥当な判決である。また、地形的条件や騒音対策などについて小田急や都の判断理由を適正に判断した点は個人的に評価して欲しい点であったので最も納得できた。この長いことかかり、ある程度利用者としては助かっている高架による連続立体交差事業(以下連立事業と言う)、複々線化事業が法的にも違法性のないことが認められ、本当に良かったと思う。


考えてみればこの訴訟は原告適格についてH17年最高裁判決はリーディングケースとなり、1審は実質審理には納得はいかなかったものの原告適格を広く見たことは意義があったのかも知れないが、求めていたものが利用者からすれば利用者無視のプロ市民によるエゴの押しつけと言うのが正直な感想であった。だいたい反対している人がどかないから結局この高架化・複々線化事業は50年近くかかった時点で利用者としては疎ましかった。

報告集会において今回の判決が出ても原告側は連立事業は道路開発の事業であり、道路作ってこれが無駄と環境破壊を招くとしていることが変わっていない。立体化しないで踏みきりで止めた方が排気ガスだらけでかえって環境に悪いし、地下化しても側道作らないで交通量の分散化がされないのも同様なのに。

昨年の行訴法9条2項新設による原告適格の判例解釈の変化についてもコペルニクス転換をしたと言っているが、従来の9条1項の「法律上保護された利益」説は維持しつつ、提訴の門戸を広げるため対象の幅を拡張したにすぎないし、しかも実質部分の判断が上告棄却になったからって裁判所が姑息で国民を裏切ったと言うのはどうだろうか。しかも何らかの圧力があってこうしたって発言も・・・裁判所を愚弄するようだ。はっきり言って棄却されたことが違法だというのも失当な話だ

それに、高架化か地下化とどちらが適正化かという判断が不十分であるとの話であるが、事業進める上での調査や考慮をあれだけ検討したのにこれ以上何をするのか。高架化したときと地下化したときの事業費の検討について既に収容した土地の取得費の500億円を高架化での事業費検討に加えてない所を突いて検討は失当としているが、地下化でも2層4線でも1層4線でも線路の真下だけで作業は出来ない。やはり周辺の土地を取得はしないといけないのだからどちらにも同等の金額が乗っかるだけで大して差はない。(ちなみに事案概要では事業費は高架化1900億円、地下化3000億〜3600億円とした点を認めている。)
周辺の土地利用による鉄道事業分の受益分についても判断がろくになされていないとのことも指摘している。確かに、されていないのは事案概要でも認めているが地下化して空いたところには線路が下にあるから大して基礎も打てず、それほど使えるような建物は建てられないであろう。高架下では今やクローゼット、自転車置き場、スーパー等の商店や図書館の分館が出来ていたりする。こちらの方が余程生産性はあるだろう。それに一時「のコリドー」という緑道にするという高架化の代替案が出ていたがこれでは生産性はないし、こうするのにどこに土地を買ってもらうつもりだったのか。都や世田谷区か?これだと結局血税を出させる事になり、事業費が無駄とは言えなくなる気もするし、税金でこんなん作らせるのでは本当にエゴでしかない。

さらに高架があることで街が分断されているとも言っていた踏切有った方が実際人の流れが分断されて確かに分断されるが、高架なら踏切の無い分流れが双方に出来て街の一体化は図られているはずだ。実際祖師ヶ谷の街はこれで一体化しているらしいし、最近なら東急の元住吉高架化したことで二つの商店街から一体化した流れが出来たというのに。見た目だけで判断し、あくまで地下化でないとダメというのはもうただ電車が邪魔なだけで、とにかく高架は何も利益をもたらしていないと言っているようだった。本当にどこまでもエゴっぽい・・・。

とにかく、裁判は結審した。今後、小田急利用者の利便が図れるよう、地域の方と協力し、事業を進めてほしいところである。
061101trainvoice.JPG
この記事へのコメント
この訴訟に関しては原告の主張はある程度当たっている。
何故なら住居と高架とのバッファゾーンが狭すぎる。
高架道路の場合、普通バッファゾーンは1層増えるごとに
最低8メートル前後確保するものだが、
この場合は4メートル程しか取られていない。
事業の進め方が強引であったことは
現場から容易に推測できよう。

あと、公共性をやたら強調しているが
所詮は鉄道会社と利用者のエゴである。
Posted by ぽ at 2006年11月04日 00:35
ぽさん
コメントありがとうございます。
そうですね。多少事業の進め方に強引さは感じましたね。もう少し、住民に対し合意を得られるよう説明等丁寧にする必要もあったかも知れません。
ただ、一方で地下化以外聞く耳持たずで説明会を妨害し、ボイコットさせた方も一部いたという残念な話もあります。そういった点でエゴ的な見方も出来てしまうのも一つの意見です。

住民対行政・利用者の公共の福祉のバランスの難しさもあり、一概に白黒きっちりつけられないところもありますね。
Posted by Naru2 at 2006年11月04日 02:50
TBありがとうございます。

えーと、記憶が正しければ、この訴訟の被告は小田急電鉄ではなく東京都であって、40年以上前に策定された都市計画を、住民の地下化要求を無視して再検討することなく実施したことについての行政手続上の違法性を問うたものですよね。

私も地下化は現実的に無理と考えておりましたが、住民への説明の丁寧さが欠けていたのは残念ですね。対案を示しつつの理性的説得プロセスを組み込んだ戦略的アセスメントの考え方が都条例に反映されていれば防ぎ得たのではないかと考えております。

なお、高架複々線化事業の実現が遅れた理由ですが、何よりも地権者の権利が強すぎることが一番の要因でしょう。世田谷区の道路事情の悪さは、行政の地権者優遇のスタンスの成せる技です。

加えてインフレ抑制のスケープゴートとして鉄道運賃が政治的に抑制されたことで、事業者が当事者能力を発揮できなかった事情もあります。完全な公共性の履き違えです。少数派のプロ市民にさほどの力があるとは思えません。
Posted by 走ルンです at 2006年11月29日 18:51
走ルンですさん
コメントありがとうございます。

確かに、被告は都で、原告は都が小田急線の連続立体交差事業について地下化の判断をせず、高架化で認可を出したことは違法であるとして、本件行政処分の取消を求めた訴訟です。

原告住民の非現実的且つ利用者無視の無茶な理由付けなどと比較しても、現実を考えると高架化となるのが当たり前であるなとは思っていました。ただ、1審の藤山判決が事業について本当に精査したのか不明な判決なだけにこの裁判には注目したわけです。
行政法の講学上では行政事件訴訟法改正によって原告適格について広く解釈したリーディングケースであり、1審は広く適格をとったきっかけという一面もありましたが・・・。

小田急や都にしても地権者への説明不足やもっと早く土地が空いている内に確保しておくなど先見の明があればもう少しこの事業もスムーズに進んだろうに。世田谷区の地権者に弱腰すぎたのが輪をかけて厄介にしてしまったのでしょう。

公共事業、そして、大規模な鉄道の事業進捗について色々と考えさせられる訴訟ではあったなと思いますね。
Posted by Naru2 at 2006年12月01日 03:34
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/26677034

この記事へのトラックバック

小田急線高架化訴訟、住民敗訴で結審
Excerpt: 関連記事Thursday, December 08, 2005 小田急線高架化訴
Weblog: 鉄路的部落
Tracked: 2006-11-29 18:27
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。